梅雨はあまり好きな季節ではありません。
湿度が高く、洗濯物は乾きにくい。出かけるときは傘が必要で、空もどんよりしています。
けれど植物観察を始めてから、この季節の見方が少し変わりました。
雨の多い季節だからこそ美しく見える花があることに気づいたからです。
茶道では、不便さや不足の中にも美しさを見出します。雨の日の露地や曇り空の光を味わう感覚です。
植物観察も少し似ているのかもしれません。「梅雨だから嫌だな」で終わるのではなく、その中でふと目に入る花に気づくと、少し幸せな気持ちになります。
今回は、私が6月に見つけるとうれしくなる花たちをご紹介します。
クチナシ
真っ白な花びらと甘い香りが特徴です。梅雨の曇り空の下では、その白さがいっそう際立ちます。姿を見つける前に香りで気づくこともあり、「今年も咲いたな」と季節の訪れを感じさせてくれる花です。
公園で見かけることも多いです。低めの木で葉脈がはっきりしています。

ザクロ
鮮やかなオレンジ色の花。緑が濃くなる季節の中で、この色は驚くほど目を引きます。
果実の印象が強い植物ですが、花もまた魅力的です。

ヤブカンゾウ
見かける機会はそれほど多くありませんが、出会うとうれしくなる花です。
八重咲きのオレンジ色の花は存在感があり、梅雨空の下でも力強く咲いています。

ナンテン
冬の赤い実で知られていますが、初夏には小さな白い花を咲かせます。
目立つ花ではありません。
それでも、近づいて見ると繊細で美しく、植物観察をしているからこそ気づけた花のひとつです。

ナツツバキ
白い花が涼しげで、初夏を代表する花木のひとつです。
朝に咲いて夕方には落ちることから、そのはかなさも魅力です。
雨上がりに見ると、花や葉についた水滴との組み合わせが何とも美しく感じられます。

ヒメシャラ
ナツツバキによく似ていますが、より繊細な印象があります。
樹皮の美しさも魅力で、花だけでなく木全体を眺めたくなります。
見かける機会は少ないものの、出会うと足を止めてしまう木です。

コムラサキ
秋の紫色の実が有名ですが、初夏には小さな淡紫色の花を咲かせます。派手さはありませんが、近づいて見ると驚くほど可憐です。「こんな花が咲いていたのか」と毎年新鮮な気持ちになります。

おわりに
以前の私は、梅雨をただ不快な季節だと思っていました。
けれど植物観察を始めてからは、6月にも楽しみがあることを知りました。
クチナシの白い花、ザクロの鮮やかなオレンジ、雨粒をまとったナツツバキ。
どれも特別な名所へ行かなくても、ふだんの散歩の中で出会えるものです。
植物観察の面白さは、珍しい植物を探すことだけではありません。
何気ない日常の中にある季節の変化や小さな美しさに気づくこと。
今年の6月も、そんな花たちとの出会いを楽しみにしています。
