数年前、泉屋博古館東京を訪れた帰りに立ち寄った赤坂アークガーデン。高層ビルに囲まれた都心にありながら、四季折々の植物が観察できる静かな庭園です。今回は、そのとき撮影した写真をもとに、初夏に見られた植物たちをご紹介します。
赤坂アークガーデンとは
赤坂アークガーデンは、東京都港区のアークヒルズ内に整備された庭園群の総称です。アークヒルズは1986年に誕生した日本初の民間大規模複合再開発として知られ、都市と自然の共生を理念の一つに掲げています。園内にはメインガーデンやフォーシーズンズガーデンなどがあり、四季を通じて多彩な植物を観察できます。都心とは思えないほど緑が豊かで、鳥や昆虫も見られる身近な自然空間となっています。散策しながら季節の移ろいを感じられるのが魅力です。

初夏に出会った植物たち
ネムノキ
夜になると葉を閉じて眠るように見えることから名付けられた木。ふんわりとしたピンク色の花が初夏の風景をやわらかく彩ります。

昼は咲き夜(よる)は恋ひ寝(ぬ)る合歓木(ねぶ)の花君のみ見めや戯奴(わけ)さへに見よ(万葉集)
シモツケソウ
小さな花が集まって咲く姿が特徴。淡い桃色の花房は、梅雨入り前後の庭園を明るくしてくれます。

※「シモツケ」と混同しやすいが、こちらは草本植物。
ホタルブクロ
提灯のような花姿が印象的な野草。子どもが花の中にホタルを入れて遊んだという説から名付けられました。

ユキノシタ
半日陰を好み、湿り気のある場所でよく見られます。独特な形の白い花は近くで見ると実に不思議です。

ムラサキシキブ
この時期はまだ花の季節。秋の鮮やかな紫色の実が有名ですが、初夏には小さな淡紫色の花を咲かせます。

『源氏物語』の作者・紫式部 を連想させる名前も魅力です。
アジサイ
6月を代表する花。雨の日にも美しく、季節の移ろいを感じさせてくれます。

あぢさゐの八重咲くごとく八つ代にをいませわが背子見つつ思はむ
(万葉集)
ビョウヤナギ
金色の花と長く伸びる雄しべが特徴。名前は中国の「未央柳」に由来し、初夏の庭園でひときわ目を引きます。

まとめ
泉屋博古館の帰りにふらりと立ち寄った赤坂アークガーデンですが、都心とは思えないほど多くの植物に出会えました。季節の花を探しながら歩いていると、東京にも確かに四季が息づいていることを感じます。数年前の写真を見返しながら、その年の初夏の空気まで思い出せるのが植物観察の面白さかもしれません。

