秋が深まり、菊の花が美しく咲く季節になりました。
七十二候では、寒露の末候にあたる時期を「菊花開(きくのはなひらく)」といいます。文字どおり、菊の花が開く頃という意味です。2026年は10月13日がそれに当たります。
菊と聞いて思い浮かべるのは、どんな花でしょうか。新宿御苑の菊花壇展で見る、手入れの行き届いた美しい菊。公園や庭先で見かける、名前の分からない小さな菊。あるいは、菊に似ていると思っていたけれど、調べてみると別の仲間だった花。
今回は、これまでの植物観察で出会った菊の写真を集めてみました。
七十二候「菊花開」とは
七十二候は、二十四節気をさらに三つずつに分け、季節の移り変わりを表したものです。「菊花開」は、寒露の最後の候にあたり、例年10月13日頃から10月17日頃までとされています。
旧暦の季節感を伝える言葉ですが、実際の開花時期は地域や気温、品種によって異なります。菊は秋を代表する花の一つ。日本では観賞用として親しまれ、古くから文学や行事にも登場してきました。
暦の言葉を知ってから花を眺めると、いつもの植物観察にも少し違った意味が生まれます。
新宿御苑の菊花壇展
新宿御苑では、秋になると菊花壇展が開催されます。以前訪れた際の様子は、こちらの記事にまとめています。
新宿御苑の菊花壇展では、伝統的な様式で仕立てられた菊を鑑賞できます。普段、公園などで見かける菊とは異なり、花の形や大きさ、仕立て方まで計算された姿が印象的です。同じ菊でも、育て方や見せ方によって、これほど違った表情になるのかと感じます。
秋の植物観察というと、野山の草花や紅葉を思い浮かべますが、こうした園芸文化に触れることも、日本の季節を知る一つの方法です。
一番地味な肥後菊に心惹かれました。肥後出身だからなのかもしれませんが、植物観察し始めて気づいた菊の魅力は、仏壇に捧げる豪華なものではなく、野に咲くものにあると感じたので、それに似た楚々とした肥後菊が気に入りました。
あちこちで出会った、名前の分からない菊
植物を観察していると、名前を知っている植物ばかりに出会うわけではありません。菊に似た花を見つけても、品種名はもちろん、種類そのものが分からないこともあります。
それでも、花びらの形や色、花のつき方を眺めていると、それぞれに違いがあることに気づきます。小さな花が集まって咲くもの。花びらが細く伸びるもの。淡い色で、ほかの草花に溶け込むように咲くもの。

名前が分かれば、植物について知る入口になります。一方で、名前が分からなくても、その場で花を眺めるは変わりません。
今回の記事では、そんな名前の分からない菊も、観察したときの写真とともに紹介します。
※種類を特定できていない花は、無理に名前をつけず、撮影した場所や花の特徴を記録しておきます。
名の分かる菊
ユウガギク、ノコンギク、ユウガギク
こちらは野に咲いている種のような気がします。楚々としていて、とても好きです。

皇居で見かけたカモメギク、徳川のお庭で見たダンギク。
こちらはとても華やかです。

菊だと思ったら、違う仲間だった
菊に似た花の中には、植物学的にはキク科ではないものもあります。例えば、秋の花として知られるシュウメイギク。名前に「菊」とついていますが、キク科ではなくキンポウゲ科の植物です。

白や淡いピンク色の花を咲かせ、秋の庭園などで見かけます。名前や見た目だけでは、植物の仲間を正確に判断できないことがあります。こうした違いを知ると、植物観察は花の美しさを楽しむだけでなく、名前の由来や分類を調べる楽しみにもつながっていきます。
菊×歴史・文学
万葉集にはキクを詠んだ歌が一首もないとのこと。
まだ、そのころには中国から渡来していなかったのか、まだ目立たなかったのか?
その後、桓武天皇が歌を詠み、その後、807年には重陽の宴を模した「菊花豊楽」が開催されたとのこと。
このごろの しぐれの雨に 菊の花 散りぞしぬべき あたらその香を
百人一首には凡河内躬恒が白菊を出しています。
心あてに 折らばや 折らむ初霜の おきまどはせる 白菊の花
菊の花から、秋を感じる
今回は、七十二候の「菊花開」に合わせて、これまでに出会った菊の写真を振り返ってみました。
新宿御苑の菊花壇展で鑑賞する伝統的な菊も、道端や庭先で偶然出会う名前の分からない花も、それぞれ違った魅力があります。
植物を観察するようになってから、花が咲いている場所だけでなく、その名前や仲間、季節との関係にも目が向くようになりました。
七十二候は、季節を細やかに感じ取るための手がかりの一つです。
「菊花開」の頃、身近な場所で菊の花を探してみるのはいかがでしょうか。
名前の分かる花も、まだ名前の分からない花も、秋の景色の一部として楽しめたらと思います。
今まで書いた七十二候に関する記事
六十七候 芹乃栄|正月が終わったあとの身体と七草 – 日本の植物



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