旅先で、植物を見る
旅行に行くと、観光地を見たり、おいしいものを食べたり、その土地の歴史を知ったりします。私も神社やお寺、城跡など、歴史のある場所を訪れることが多いのですが、最近はそこにもう一つ楽しみが加わりました。
その土地では、どんな植物が見られるのだろう。
旅先で植物を見るようになると、観光地の見え方が少し変わります。有名な建物の横にある一本の木や、境内の花、街路樹、店先の鉢植えまで、ふと目に入るようになるからです。
神社やお寺を歩くと、日本の共通点が見えてくる
全国の神社仏閣を訪れていると、何度も出会う植物があります。
春なら梅、椿、桜。
夏には紫陽花や夏椿。
秋には紅葉。
そして季節を問わず、松やサカキ、ナギなどの常緑樹。
場所は違っても、神社やお寺には似た植物が植えられていることがあります。それに気づくと、「日本の神社には、こんな植物が多いんだ」と、旅を重ねるほど共通点が見えてきます。
植物を知ることは、その土地の文化を知ることにもつながっているのかもしれません。
一方で、「ここでしか出会えない植物」もある
旅の面白さは、共通点だけではありません。むしろ、思いがけずその土地らしい植物に出会ったときの方が、記憶に残ることもあります。
1月の宮城では、閖上ザクラや鹽竈ザクラ。

2月の京都では、北野天満宮の飛梅。

4月の島根では、松江城で以雲、落雁、花家老といった特徴的な椿に出会いました。

7月の静岡では、三嶋大社で三葉松を見つけました。
どれも、単に「桜を見た」「梅を見た」「椿を見た」という記憶とは少し違います。「この植物を見たから、あの旅を思い出す。」植物が旅の記憶の目印になっていきます。
高原や山では、また違う植物に出会う
5月に熊本の産山村を訪れたときには、オキナグサを見ました。

そして8月の奥日光では、シラネニンジン、ホザキシモツケ、日光アザミなどに出会いました。

高原や山へ行くと、平地の神社仏閣とは植物の顔ぶれが大きく変わります。同じ日本の中でも、標高や気候、土地の環境が変われば、出会う植物も変わる。だから山への旅では、「何が咲いているかな」と歩くこと自体が楽しみになります。そして面白いのは、違う土地で同じ植物に再会すること。
ワレモコウが奥日光でもみられたことは驚きでした。

植物を見ると、旅先の景色が違って見える
植物観察を始める前は、旅行先の植物をわざわざ探すことはありませんでした。
でも今は、神社に行けば境内の木を見る。お寺に行けば庭の植物を見る。城跡では大きな樹木を見る。山へ行けば足元の草花を見る。街を歩けば街路樹を見る。
お店の前に花が飾られていれば、それも見る。
そうすると、日本のどこへ行っても植物があることに気づきます。そして、どこにでもある植物と、その土地ならではの植物の両方が見えてくる。それが、私にとっての「植物を見に行く旅」です。
植物が、旅のもう一つの地図になる
旅行から帰って写真を整理すると、植物の写真が旅の記憶を呼び戻してくれることがあります。
「あのとき見た桜。」
「松江城の椿。」
「奥日光のホザキシモツケ。」
植物の名前を知っていると、旅の記憶に新しいタグが増えていきます。
観光地の名前だけではなく、
「あの場所で、あの植物を見た」
という記憶が残る。
植物は、旅先の景色を覚えておくための、小さな目印にもなっているのだと思います。
次の旅では、植物を一つ探してみる
旅先で、わざわざ植物観察のための予定を組まなくてもいいと思っています。
神社へ行ったら、境内の木を一本見てみる。
お寺に行ったら、庭の花を探してみる。
城跡に行ったら、古い木を見上げてみる。
山へ行ったら、足元の花を探してみる。
写真を撮って、あとから図鑑で名前を調べてもいい。
そうすると、観光地だった場所が、少しずつ「植物のいる場所」に変わっていきます。
旅先で植物を見る。
それだけで、同じ旅が少し違って見えてくる。
次の旅では、観光地だけではなく、その土地に生えている植物にも目を向けてみようと思います。

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