5月中旬、国営武蔵丘陵森林公園を訪れ、初夏に咲く植物たちと静かな時間を過ごしてきました。東京都心から電車でアクセスできるこの森林公園は、広大な敷地と多様な植生を楽しめる自然観察の宝庫です。
国営武蔵丘陵森林公園とは?
1974年に開園した日本初の国営公園で、埼玉県比企郡滑川町と熊谷市にまたがる広さ約304ヘクタールの自然公園です。武蔵野の雑木林や草地、湿地など多様な環境が整備されており、四季折々の植物観察に最適な場所です。
- 所在地:埼玉県比企郡滑川町山田1920
- アクセス:東武東上線「森林公園駅」からバスまたは徒歩
- 開園時間や入園料は公式サイトをご確認ください → 公式サイト
園内マップとゾーニングについて
森林公園は、さまざまな植生や環境ごとにゾーニングされています。以下のPDFマップが便利です:
国営武蔵丘陵森林公園マップ(公式)
主なゾーン:
- 中央口〜植物園エリア:カエデ類、山野草、ユリノキの観察に適しています
- 西口エリア:わんぱく広場や西口広場があり、子供も大人も楽しめます。どんぐりがたくさん拾えます。
- 南口〜湿地・水辺:城跡や日本庭園があります。
中央口から徒歩で観察した植物たち
カエデ園
切れ込みの美しい葉と、春から初夏にかけて赤く色づく翼果が印象的でした。新緑の中に見える赤い種は、風に乗って飛ぶ準備をしています。
この時期にも赤いカエデがありました。タムケヤマとショウジョウです。
カジカエデ
山深くに生える日本固有種のカエデ類で数は少ない。公園樹として植えられることがある。カナダの国旗のモチーフである、北米原産のサトウカエデに葉の形が似ていて個性的である。 『葉っぱで見分け五感で楽しむ樹木図鑑』
コハウチワカエデ(1.2枚目)とハウチカエデ(3枚目)
天狗の羽団扇のようなデザイン。秋には黄葉も紅葉もし、見ごたえがあるとのこと。
ハナノキとウリハダカエデ
両方葉が3つに別れ、トウカエデにも似るが、葉の大きさが違いました。
特にハナノキの花は他のカエデ類と違うため、同じカエデの仲間だとは驚きました。
(参考)トウカエデの葉
(参考2)ハナノキの花

250328 新宿御苑
オオモミジとイロハモミジ
ぱっと見では分かりませんが、なんとなくイロハモミジより大きい葉がついてるものはオオモミジであることが多いです。たくさん見ていくと分かっていきますね。
その他
品種改良されたであろう、カエデたちがたくさん見られました。その一部をご紹介します。
舞孔雀、置霜、忍ケ丘
もっとカエデ類が気になった方はこちらの記事も見てみてください。
園内
エゴノキ
白い釣鐘状の花を咲かせる落葉高木。可憐な花と、落ちた花が足元を彩る様子が印象的です。茶花としても用いられ、侘びた趣が好まれます。
驚いたのが、桜かと見まがうほどの柔らかいピンクのエゴノキ。別名ピンクチャイムというそうです。*こちらは植物園花木園にて観察できました。
ガマズミ
白い小さな花を房状に咲かせる低木。秋には赤い実をつけ、野鳥も訪れる植物です。開花前のつぼみが可愛らしく、季節の移ろいを感じさせます。
ホタルブクロなど
ホタルブクロ、苗代イチゴ、アザミ、ニガナ、キンラン、ホタルカズラなども観察できました。
植物園花木園
ノイバラ、カンボク?、カルミア
実:サンシュユ、シモクレン、ハナズオウ
ヤマボウシ、花の終わりのトチノキ、ベニバナトチノキ
ナツハゼ
条件によって夏に葉が紅葉することもあるため、ハゼノキに見立てて名前がついた木です。黒く熟した実は食用になるとのこと。
イボタノキ・ウツギ・バイカウツギ
イボタノキとウツギを見間違えてしまいましたが、よく見ると、イボタノキはラッパ型の花を咲かせるものですね。蕾の感じがよく似ています。
そして、ウツギとは似ても似つかぬバイカウツギ。同じアジサイ属であるが、ウツギ科とバイカウツギ科で違いました。梅に花が似ているからバイカ、らしいですが、花びらが4枚ですし、謎ですね。
森林公園での植物観察の魅力
- 四季折々の変化が豊か:春の芽吹きから秋の紅葉まで、変化に富む
- 写真撮影やスケッチにも最適
- 野草や樹木の名前がわかる案内板やガイドも整備
注意点とアドバイス
- 虫除けスプレーを忘れずに
- 園内はとても広いので、水分や休憩も計画的に(自販機や休憩所はいたるところにある)
まとめ:森で過ごす静かな時間
忙しない日々のなか、植物と向き合う時間は心を落ち着かせてくれます。今回の観察では、木々の下に広がる春の終わりと夏の始まりを感じました。
ぜひ皆さんも、次の休日には森林公園で植物と出会う散策を楽しんでみてください。
他にも主に都内の庭園や植物観察の場所の記事をアップしていますので、お時間あれば是非除いていってみてください。
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