こんにちは。
24年12月1日(日)のthe styleの紙面でコウゾ(楮)について、柴田文江さんが書かれた文章がありました。コウゾは和紙の原料ですが、中でも白い紙は、雪晒しという工程によるものだとあります。コウゾの皮を雪の上に並べて、天日にさらすと出来上がる紙が白くなるそうです。この工程を省くと黄味がかるとのこと。
不思議ですね~。
そんな、和紙の原料に使われる植物についてまとめたいと思います。
1.コウゾ
クワ科コウゾ属で、カジノキとヒメコウゾの雑種とされています。
カジノキ
クワ科カジノキ属
以下は8月に新宿御苑で観察したカジノキの実です。
ヒメコウゾ
クワ科カジノキ属
カジノキよりも葉柄が短いことで見分けが付けられるそう。
コウゾを使った和紙
平安時代に重宝されたのが、杉原紙だったようです。
今年三の丸尚蔵館で拝見したものです。
日経新聞の記事では、新潟県長岡市小国町の小国和紙が紹介されていました。
ガンピ
ジンチョウゲ科ガンピ属
ここ数年植物観察をしてきましたが、雁皮の写真がなく、観察したことが無いようです。
どこかで拝見したいものです。
それもそのはず、日本固有種のガンピは栽培が難しく、西日本の蛇紋岩質の産地に自生する樹しかなかったため貴重品だったようです。(*こういった地質学の知識も必要になってくると、大変ですね)
また、ガンピは繊維が細く短いため、薄くすくと半透明で光沢のある紙になり、これを「薄様(うすよう)」と呼んでいたそうです。『源氏物語』(明石)には「いといたうなよびたる薄様」という表現があります。この薄様を様々な色に染め、それを数枚重ねて着物と同様に「重ね色目」が楽しまれていたそう。
ミツマタ
今の1万円札は、ミツマタとアバカ(マニラ麻)で和紙の技法を用いて作られています。(貨幣博物館での展示より)
マユミ
ニシキギ科ニシキギ属
名前の通り、弓の材料とされていました。
また、マユミの繊維を用いて漉いた和紙が「檀紙」と呼ばれます。
陸奥国が産地だったため「陸奥紙」とも言われていたそうです。
麻・稲わら・竹
こういったパルプを混合して作った紙もあります。
参考図書
・有職植物図鑑
・和紙と洋紙 その相違点と類似点 公益財団法人 紙の博物館
最後に
紙の博物館や貨幣博物館、三の丸尚蔵館での情報、今まで見てきた植物が交差し、少しだけですが、私の中で知識として収斂した気がします。こういったことが楽しくてたまりません。
これからも興味の赴くままに、どんどん吸収して忘れてを繰り返し、それでも残ったものを深めていければと思います。
皆さんの身近な植物も掘り下げると、貴方の興味のある分野へと深くつながっているかもしれません。なぜなら、植物は人間よりもはるか昔から存在し、特に日本人は樹木とともに文化を育んできたからです。
あ~楽しい。
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