先日、友人家族と植物観察をしていたら、この時期、ムクロジとセンダンの実が似ていて見分けがつかないと言われました。
そこで、私なりに違いを考えていきたいと思います。
「似ている」と言われる理由
ムクロジとセンダン。どちらも秋から冬にかけて、丸い実が枝に残り、茶色く乾いた姿になる。そのため、「あれ、同じ木?」と言われることがある。特に、葉が落ちた後の姿だけを見ると、遠目では区別がつきにくい。
ムクロジ

センダン

けれど、よく見ると、この二つの実は「似て非なるもの」だ。形だけでなく、実が担ってきた役割や、時間の積み重なり方がまったく違う。
ムクロジの実|生活に使われてきた実
ムクロジの実は、黒く硬い種を持ち、その周囲に黄褐色の果皮がつく。この果皮にはサポニンが含まれ、かつては洗剤として使われてきた。「無患子(むくろじ)」という名前も、「子が患わない」という縁起からきている。

実は単なる装飾ではなく、生活に入り込む存在だった。羽子板の羽根の重りや、数珠の玉としても使われ、手に取られ、磨かれ、消費される時間を生きてきた実でもある。
因みに黒い種子は炒って食べられると、植物園を通りかかったおばちゃんに言われた。ネットで検索すると種子の中の胚が食べられるようだ。
センダンの実|眺められてきた実
一方、栴檀の実は、やや小ぶりで、房状にまとまってつく。淡い黄色から褐色へと変わり、冬になっても枝に残ることが多い。果皮は薄く、ムクロジのように実用に供されることはほとんどない。

栴檀は寺院や街路樹として植えられることが多く、その実は「使うもの」というより、「景色の一部」として存在してきた。鳥に食べられ、風景に溶け込み、いつのまにか姿を消していく。
実の構造を見ると、違いははっきりする
ムクロジの実は、果皮が厚く、種が一つで大きい。割ると、用途を前提とした構造であることが分かる。
栴檀の実は、果皮が薄く、種も軽い。房になって揺れる姿は、拡散されることを前提とした形だ。
「似ている」のは色と丸さだけで、構造を見ると、向いている未来が違うことがはっきりする。
似ているからこそ、比べて見えるもの
ムクロジと栴檀は、どちらも秋冬の景色を支える存在だ。だからこそ、並べて見ると、「植物が人とどう関わってきたか」という差が浮かび上がる。
似ていると言われる実ほど、比べて観察すると面白い。名前を当てることよりも、役割や時間の重なり方を見ることで、植物はぐっと立体的になる。
参考:花
ムクロジの花は6月頃に見られる。

センダンの花は5月頃に見られ、いい香りがする。

| ムクロジ | センダン | |
|---|---|---|
| 実 | 丸い飴色 | 黄色で房状 |
| 種 | 黒い1粒 | |
| 花 | 黄緑 | 薄紫 |


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