沙羅の木の別名は夏椿?

植物×歴史

こんにちは。
最近美しい花をつけ始めた「夏椿」についてご紹介したいと思います。
以下を読んでいただければ、沙羅双樹や沙羅の木と夏椿の曖昧なつながりについてすっきりするかと思います。

沙羅双樹・沙羅の木とは

平家物語の冒頭の一説に出くる、沙羅双樹とは何でしょうか。
この木は仏教で名高い木でむかし釈迦が涅槃に入ったとき、その四方に2本ずつはえていた沙羅の木を沙羅双樹といったそうです。

祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず
ただ春の夜の夢のごとし
たけき者も遂には滅びぬ
偏に風の前の塵に同じ

インドに生えるフタバガキ科の樹木で、寒さに弱いため日本ではうまく育ちません。
では、なぜ夏椿が沙羅の木として寺によく植えられているのでしょうか。それは、かつて沙羅双樹を探し求めた僧が見つけたのがこの夏椿で、勘違いしたと言われているからです。

ナツツバキとは

すべすべした赤褐色の美しい幹を持っており、サルスベリ、ヒメシャラ、リョウブの幹に似ています。
ツバキといえば冬に咲く花だが、同じツバキ科で夏に花が咲くことが和名の由来です。
寺に植えられていることが多いので、ぜひ探してみください。写真は1枚目が浜松市の龍潭寺、2,3枚目が鎌倉の報国寺です。写真はありませんが、新宿御苑にもあります。

雨の中、暑い中の散策でも、夏椿を見れば心が洗われる気がします。

参考文献

『牧野富太郎植物記5』
『葉っぱで見分け五感で楽しむ樹木図鑑』
『なぜ仏像はハスの花の上に座っているのか』 稲垣栄洋

最後に

いかがでしたでしょうか。勘違いがそのままになっているのが面白いですね。でも、夏椿を見ると神聖な気持ちになるので、今もお寺には植えられているのでしょう。

一日花のため、すぐに散ってしまいます。そんなところも諸行無常を感じさせられますね。
是非探してみてください。

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